HyperReality Nature
弊社では、アバターのリアリティ追求と並行して、物理シミュレーションに基づいて水や風の流れといった自然現象をVR空間内で高精度で再現する技術を開発しています。 無機質なVR空間にならないように、川の流れや風にそよぐ木の葉がリアルに表現された心地良い空間づくりを目指しています。
SPHere(スフィア)の開発
第一弾として、 SPH (Smoothed Particle Hydrodynamics) 法を用いた流体・剛体相互作用シミュレーションコード SPHereを開発しています。 SPH法とは、流体を粒子の集まりで表現してその運動を追うシミュレーションです。宇宙物理学分野で発展してきた手法で、物質の密度が大きく変化する流体現象、 たとえば、月、恒星、惑星系などの形成過程や、銀河の衝突・形成過程などの研究に応用されてきました。 近年では、水のような非圧縮性流体を扱うことのできるSPH法も開発されています。水面などの流体境界面や、流体と他の物体(剛体や弾性体)との間の相互作用を比較的容易に扱えるというメリットもあり、 河川や海洋などに関わるエンジニアリングの分野やCG・ゲームの分野での活用も進みつつあります。 弊社では、DFSPH法と呼ばれる最新の手法も取り入れたシミュレーションコード SPHere を自社開発し、HyperReality プロジェクトでの応用にも取り組んでいます。
こちらのアニメーションは、ガラスの柱と床がある環境に水の柱を置いた時に、 水の柱がどのように崩壊していくかを SPH法によりシミュレーションしたものです。シミュレーション結果の可視化には「PovRay」および「Oosawa」を使用しています。
・PovRay (Persistence of Vision Raytracer Pty. Ltd.)
こちらの動画は火星の地形の上(重力加速度も実際の火星の値)に仮想的に水を流した時の様子をSPH法によりシミュレーションしたものです。 NVIDIA 「CUDA」を用いてGPUにより高速な計算を行っています。可視化には「Blender」を使用しています。
・火星の地形3Dモデル: ©︎ NASA JPL and Owl Creek Technologies